この文書は「EPUB 3.1 Overview」の日本語訳である。最新の文書は http://www.idpf.org/epub3/latest/overview である。原文もしくは完全な情報は、EPUB 3.1 Overview を参照されたい。

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この文書は EPUB 3.1 Overview の訳であるが、「このドキュメントのステータス」のみ最新の文書に合わせている。

公開日:
2016年3月8日
修正日:
2017年1月23日
翻訳者:
Wataru Yoshimura

EPUB 3.1 Overview

2017年1月5日 Informational Document

この版
http://www.idpf.org/epub/31/spec/epub-overview-20170105.html
最新版
http://www.idpf.org/epub3/latest/overview
前の版
http://www.idpf.org/epub/31/spec/epub-overview-20161130.html
以前の勧告
http://www.idpf.org/epub/301/spec/epub-overview-20140626.html
履歴

Editors

Garth Conboy, Google Inc.

Matt Garrish, Invited Expert

Markus Gylling, International Digital Publishing Forum (IDPF)

William McCoy, International Digital Publishing Forum (IDPF)

MURATA Makoto, JEPA EPUB Study Group

Daniel Weck, DAISY Consortium

Copyright © 2010-2017 International Digital Publishing Forum™

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このドキュメントのステータス

このセクションは、公開時点におけるこのドキュメントのステータスを説明する。他のドキュメントはこのドキュメントに取って代わるかもしれない。

このドキュメントは、2015年7月8日に承認された EPUB ワーキング グループ憲章の下で EPUB ワーキング グループによって作成された。

このドキュメントは IDPF 会員によってレビューされ、勧告仕様としてIDPF 理事会によって承認された。このドキュメントは安定しているとみなされ、他の仕様や文書から参照することができる。

このドキュメントに関するフィードバックは、EPUB ワーキング グループのメーリングリストイシュートラッカーに提供することができる。

このドキュメントは、IDPF の方針と手順によって管理される。

このドキュメントは規定ではない。

1 前置き

1.1 概要

このドキュメントは、EPUB® 3.1 仕様を理解しようと考えているコンテンツの制作者やソフトウェア開発者のための導入を提供する。もっぱら EPUB 3.1 で使用可能な機能を述べた規定ではない材料で構成される。

他の規定ではないドキュメント、EPUB 3.1 Changes from EPUB 3.0.1 [EPUB3 Changes] は、最後のバージョンから EPUB 3.1 の変更を説明する。

2 特徴

このセクションは、全体として EPUB 出版物の作成処理に適用される重要な構成要素とトピックを含む、EPUB の主な特徴を取り上げる。

2.1 パッケージ ドキュメント

すべての EPUB 出版物のレンディションは、レンディションをレンダリングするのに必要な全てのリソースを指定する単一のパッケージ ドキュメントを包含している。

パッケージ ドキュメントは、コンテンツの表示をレンダリングするために必要な全てのリソースを特定する。パッケージ ドキュメントは、直線的な読書のための読み上げ順と、レンディションのためのメタデータとナビゲーション情報を関連付けもまた定義する。

パッケージ ドキュメントは、一般的な Web サイトの大幅な改善を示している。例えば Web サイトは、そのコンテンツ内のリソースへの参照を埋め込むが、一方でリソースを識別する手段が単純で柔軟なので、それをレンダリングするために必要な全てのリソースを列挙するのは困難である。加えて、巨大な出版物のマークアップするときにページの連続性を定義する Web サイトのための標準的な方法はなく、まさにそれは EPUB の spine 要素 [Packages 3.1] が行うことである(すなわち、これは、ドキュメントの集合を通して明示的にナビゲーションを指定する外部宣言の手段を提供する)。最後に、パッケージ ドキュメントは、ページのコレクションに全体的に適用されるメタデータを表現する標準的な方法を定義する。

パッケージ ドキュメントは、論理的に関連した出版物リソースのグルーピングを許可し、collection 要素 [Packages 3.1] もまた包含する。この要素は、例えば、埋め込まれたプレビューコンテンツの定義やそれらを構成する XHTML コンテンツ ドキュメントから索引や辞書を組み立てる能力などの処理やレンダリングの機能、専門的なコンテンツの識別の開発を可能にするために存在する。

パッケージ ドキュメントと他のレンディションを規定している構成は、[Packages31] で指定されている。

2.2 ナビゲーション

2.2.1 読み上げ順

EPUB のキーコンセプトは、EPUB 出版物が複数のリソースで構成されており、それらのリソースはある特定の順番で完全にナビゲートされたり、人やプログラムによって消費できるということである。

多くの出版物の型は、そのコンテンツを通じて明確な読み上げ順か論理的な進行方向を持っている。小説は(一般的に始まり、中間、終わりを持つ)非常に連続性の高いドキュメントの例であるが、全ての出版物が順序付けられているわけではなく、料理の本や写真集は、むしろデータベースのように考えられるかもしれない。しかしながら、データ、トピック、位置、その他のいくつかの条件によるかどうかを問わず、全てのドキュメントの全てのトップ レベル コンテンツの項目は、少なくともひとつの論理的な順番を持つ(例えば、料理本は、一般的にレシピの種類によって並べられる)。

それぞれの EPUB 出版物のレンディションは、全てのトップ レベル コンテンツ(スパイン [Packages31])の少なくともひとつの論理的な順番も宣言的な目次(EPUB ナビゲーション ドキュメント [EPUB 3.1])も定義している。EPUB 出版物は、これらのデータ構造をコンテンツの外部に機械可読な方法で利用できるようにすることで、これらの発見と利用を単純化する。

EPUB 出版物は、コンテンツの直線的な順序に制限されるものではなく、そしてまた任意の方法によるリンクを排除しないが(Web と同じように、EPUB 出版物はハイパーテキストで構成されている)、基本的な消費とナビゲーションは、HTML ページのセットには当てはまらない方法で確実に遂行できる。

2.2.2 ナビゲーション ドキュメント

それぞれの EPUB 出版物のレンディションは、人間と機械が可読可能なナビゲーション情報を定義する [HTML]nav 要素を使用した EPUB ナビゲーション ドキュメントと呼ばれる特殊な XHTML コンテンツ ドキュメントを含んでいる。

ナビゲーション ドキュメントは、EPUB 2 の NCX ドキュメント [OPS2] に置き換わる。ナビゲーション ドキュメントは、最低限のアクセシビリティとナビゲーションのサポートと、NCX の特徴を維持しながら、全てのユーザーのためにナビゲーションを強化する新しい機能性とレンダリング機能を導入する。これらの中で重要なのは、国際化(XHTML ドキュメントであるナビゲーション ドキュメントは、ルビ注釈がネイティブにサポートされた)と埋め込まれた文法(MathML と SVG は、ナビゲーションリンク内に包含できる)のためのより良いサポートである。

XHTML コンテンツ ドキュメントとして、ナビゲーション ドキュメントもまた同様に、アクセシブルなリーディング システムのために情報へアクセスすることに影響を与えることなく、CSS と hidden 属性 [Packages31] を使用してナビゲーションの表示を調整する柔軟な手段を提供する。

ナビゲーション ドキュメントの構造とセマンティクスは、EPUB ナビゲーション ドキュメント [Packages31] で定義されている。

2.3 メタデータ

EPUB 出版物は、メタデータを追加するためにオプションの豊富な配列を提供する。各レンディションのパッケージ ドキュメントは、タイトル、著者、識別子や容易にアクセスできる EPUB 出版物についての他の情報といった、EPUB 出版物についての一般的な情報ための専用の metadata セクション [Packages31] を包含する。また、link 要素 [Packages31] を使用して完全な書誌レコードを添付する手段も提供する。

パッケージ ドキュメントはまた、一意識別子unique-identifier 属性 [Packages31] を使用して、EPUB 出版物を確立することを許可している。パッケージ メタデータ セクション内に必須な最終更新日は、EPUB 出版物(出版物識別子 [Packages31] を参照)の異なるバージョンを区別する手段を提供し、リリース識別子を定義するこの識別子に紐付けることができる。出版物識別子は、新しいバージョンとしてを識別しながら、その一意識別子を変更せずに EPUB 出版物をリリースする方法の問題を解決する。

XHTML コンテンツ ドキュメントはまた、処理とアクセシビリティの目的の両方に、より意味を持たせて便利である (XHTML の意味の変化 [Content Docs 3.1])、豊富なメタデータで注釈をマークアップする手段を包含する。RDFa と Microdata の両属性は、コンテンツレベルのメタデータ表現(XHTML の意味の強化 [Content Docs 3.1])を可能にし、XHTML コンテンツ ドキュメントに使用することができる。

2.4 コンテンツ ドキュメント

それぞれの EPUB 出版物のレンディションは、[EPUB 3.1] で定義された、ひとつ以上の EPUB コンテンツ ドキュメントを含む。これらは、読み取り可能なコンテンツと関連するメディアリソース(例えば、画像、音声や動画)の参照を記述する XHTML や SVG ドキュメントである。

XHTML コンテンツ ドキュメントは、[HTML] のプロファイルによって定義されている。

2.5 固定レイアウト

EPUB の歴史は、リフローコンテンツにできるようにすることに注力しているが、すべての出版物を安易にリフローにして役立つというわけではない。児童書、コミックや漫画、雑誌や他のコンテンツの形式は、意味を持つ形を表現するためにページの正確なレイアウトを作成する機能が必要である。

EPUB 3 は、SVG に固定レイアウトのための既存の機能に加えて、固定レイアウトの XHTML コンテンツ ドキュメント [Packages31] の作成を可能にするメタデータを包含する。このメタデータは、要素を絶対的に配置することができるキャンバスを作成し、制御するためのページの寸法 [Content Docs 3.1] を可能にする。

メタデータは、コンテンツが固定かリフローかのフラグだけではなく、EPUB 出版物の表現を制御する広い範囲を提供し、合成された見開きの作成 [Packages31]するとき、望むページの回転 [Packages31] の指定や、それらの見開き内にページをどのように配置するかの方法 [Packages31]もまた製作者に許可する。

2.6 レンダリングと CSS

EPUB のキーコンセプトは、ユーザーがコンテンツの特定の表現に適応するよりもむしろ、ユーザーにそのコンテンツの表現を適応するということである。HTML はもともと構造化されたコンテンツの動的なレンダリングをサポートするように設計されているが、徐々に、Web ブラウザでサポートされる HTML は、Web アプリケーションの需要に焦点が当てられ、現在、最も人気のある Web サイトは、固定フォーマットのレイアウトである。

EPUB 出版物は、また一方で、視覚障害のためにアクセシビリティを最大限に高めるよう設計され、リーディング システムは、一般的に、表示領域のサイズ、ユーザーの選んだフォントサイズ、他の環境要因に適合し、その場でテキスト行のレイアウトやページ付けを実行する。この機能は、EPUB で保証されておらず、画像、ベクターグラフィック、動画や他の非リフローなコンテンツは、包含されてもよく、いくつかのリーディング システムは、その場もしくはまったく、ページ付けをしないかもしれない。それでもなお、動的なアダプティブ レイアウトとアクセシビリティのサポートは、EPUB 規格の進化の過程において第一の設計要点である。

EPUB コンテンツ ドキュメントは、製作者が望むレンダリングの性質を定義できるように、CSS スタイル シートを参照できる。EPUB 3.1 は、[CSS Snapshot] で定義されているような CSS のサポートに従う。

EPUB 3.1 はまた、横組と縦組のレイアウトと左から右、右から左のドキュメントの両方を有効にする CSS スタイルをサポートする。詳細な情報は、多言語サポートの CSS を参照されたい。

EPUB 3.1 は、昼間/夜間のレンダリング モードとテキストのレンダリングする方向をユーザーに選択することを許可をする、複数のスタイル シートを提供する機能もまた包含する。詳細な情報は、[Alt Style Tags] を参照されたい。

2.7 マルチメディア

EPUB 3.1 は、それらの要素が提供する全ての機能と特長を継承した、[HTML]audiovideo 要素を介して XHTML コンテンツ ドキュメントに音声と動画の埋め込みをサポートする。音声や動画フォーマットの詳細情報は、[Core Media Types] を参照されたい。

EPUB 3.1 のもうひとつの主なマルチメディア機能は、メディア オーバーレイ ドキュメント [Media Overlays 3.1] の包含である。EPUB 出版物のレンディション のために録音済みナレーションが利用できるとき、メディア オーバーレイは、コンテンツ ドキュメントのテキストにその音声を同期させる機能を提供する(聴覚レンダリングとメディア オーバーレイも見よ)。

2.8 フォント

EPUB 3.1 は、従来の出版ワークフローと新たな Web ベースのワークフローに対応する二つの密接に関連するフォントフォーマット(OpenType [OpenType] と WOFF [WOFF] [WOFF2])をサポートする。例えば、EPUB 出版物を生成するのに使用されるワードプロセッサプログラムは、インストール済みの OpenType フォントのコレクションのみにアクセスするだろうし、Web ページをまとめて EPUB を生成する EPUB ジェネレーターは、WOFF リソースのみアクセスできるようにするだろう(望ましくなく、潜在的にライセンスされておらず、WOFF のメタデータを削除することなく、WOFF を Opentype に変換することはできない)。

EPUB 3.1 はまた、OpenType と WOFF フォントフォーマット両方の難読化と通常のフォントリソースの両方をサポートしている。難読化されたフォントリソースのサポートは、多くの商用フォントのためのフォントライセンスの制限に対応するために求められる。

2.9 スクリプト

EPUB は、実行されるプログラムではなく、操作することのできるデータとして、宣言されたコンテンツの取り扱いに務めるが、[HTML][SVG] に定義されているようなスクリプトをサポートする(詳細な情報は、スクリプト [Content Docs 3.1] を参照されたい)。

それに注意することは重要であるが、リーディング システムのスクリプトのサポートは任意であり、セキュリティ上の理由から無効にしてもよい。

製作者らはまた、EPUB 出版物のスクリプトは、Web ブラウザのスクリプトとは異なるセキュリティの考慮事項を引き起こすことができることを意識する必要がある。たとえば、一般的に同一生成元ポリシーは、ユーザーのローカルシステムにダウンロードされたコンテンツに適用されない。そのために、スクリプトは、スクリプト コンテンツ ドキュメント - コンテンツの適合性 [Content Docs 3.1] に記載されているものよりも、制約されたコンテクストのコンテナに制限されることが強く推奨されている。

言い換えれば、コンテンツが全てのリーディング システム間を横断できず、アクセシビリティとコンテンツの再利用性に障壁を作る可能性が増大するので、それがユーザーエクスペリエンスに不可欠である場合に、スクリプトの制限を考慮されたい。

2.10 テキスト読み上げ

EPUB 3.1 は、音声同期の制御的側面、例えば発音、韻律、音質などの以下のようなテキスト読み上げ (TTS) 機能を提供する。

発音辞書

W3C PLS フォーマット [PLS] を使用する一般的な発音語彙を包含することは、製作者らに、全体の EPUB 出版物に適用される発音ルールを提供できるようにする。詳細な情報は、発音辞書 [Content Docs 3.1] を参照されたい。

インライン SSML 音素

直接、EPUB コンテンツ ドキュメントに SSML 音素機能 [SSML] を取り込むことは、標準の発音ルールおよび/または(上で言及されている PLS フォーマットにより提供される)参照した発音語彙の優先し、きめ細かい発音制御を可能にする。詳細な情報は、SSML 属性 [Content Docs 3.1] を参照されたい。

2.11 コンテナ

EPUB 出版物は、包含したレンディションを処理するためのパッケージ ドキュメント、全てのコンテンツ ドキュメントと他の必要とされるリソースを含んだ単一ファイル(ポータブルドキュメント)として配布、交換される。EPUB のための単一ファイルのコンテナ形式は、広く採用されている ZIP 形式と、アーカイブ内に事前に定義された場所に記載されている ZIP アーカイブ内の各レンディションのパッケージ ドキュメントの場所を識別する XML ドキュメントに基いている。

このアプローチは、EPUB 出版物の任意の制作者とそのような EPUB 出版物だけではなく、ネットワークトランスポートまたはファイルシステムの詳細から独立している信頼性の高い表現を消費する任意のシステムとの間に明確な契約を提供する。

コンテナファイルとしての EPUB 出版物の表現は、[OCF 3.1] で指定されている。

3 多言語サポート

3.1 メタデータ

EPUB 3.1 は、EPUB 出版物の世界的な頒布を強化するために、パッケージ メタデータ セクションの全てのテキストのメタデータ項目の代替表現をサポートする。opf:alt-rep 属性 [Packages 3.1] は、言語を指定しているメタデータの代替文字のレンダリングの包含と識別の機能を提供する。

この属性を使用すると、日本語の EPUB 出版物は、例えば、著者名の代替のローマ字の表現および/またはひとつ以上のロマンス語によるタイトルの表現を含むことができる。

page-progression-direction 属性もまた、コンテンツフローの方向が、全体的なレンダリングを容易にするために全てのコンテンツ ドキュメントに指定することができる(page-progression-direction [Packages31] を参照されたい)。

3.2 コンテンツ ドキュメント

XHTML コンテンツ ドキュメントは、双方向コンテンツのレンダリングのサポートを向上させる HTML の方向性の機能を利用する。bdi 要素は、双方向テキストのインスタンスを周囲のコンテンツから隔離させることができ、bdo 要素は、子のコンテンツの方向性を上書き、dir 属性は、任意の要素の方向性を明示的に設定できる。

XHTML コンテンツ ドキュメントもまた、発音のサポート(それらは同様に、ナビゲーション ドキュメントのリンクをサポートする)のルビ注釈をサポートする。

SVG コンテンツ ドキュメントは、双方向テキストのレンタリングをサポートするが、ルビのサポートは包含されていない。

3.3 CSS

CSS3 モジュールの EPUB 3.1 のサポートは、多くの異なる言語や文化のタイポグラフィを可能にする。いくつかの具体的な強化は以下の通りである。

  • リーディング システムに、利用者が方向を切り替えることができる機能を提供する縦書きのサポート、

  • 例えば傍点の包含のような強調の優れた制御、

  • 新しい単語を区切るためにスペースを使用できない言語の文字レベルに生じる可能性のある改行の優れた制御、と

  • 改行を容易にする優れたハイフネーションの制御。

3.4 フォント

EPUB 3.1 は、リーディング システムにいかなる特定のセットのシステムフォント搭載も要求しない。Web コンテクストで生じたとして、ある特定ロケールのユーザーは、他のロケールに必要な文字を省略したフォントをインストールしているかもしれないし、リーディング システムは固有のフォントや、オペレーションシステムにインストール済みのフォントを利用しないフォントエンジンを利用するかもしれない。結果的に EPUB 出版物のテキストコンテンツは、全てのリーディング システムで意図した通りにレンダリングされないであろう。

この問題に対処するために、EPUB 3.1 は、テキストコンテツのレンダリングを容易にするためにフォントの埋め込みをサポートし、この実装はコンテンツが意図したとおりレンダリングされるのを確保するために推奨される。

埋め込みフォントのサポートによって、EPUB 出版物に一意な文字やグリフが適切に表示されるために埋め込まれることも保証される。

3.5 テキスト読み上げ

PLS ドキュメントや SSML 属性の EPUB 3.1 のサポートは、製作者に、テキスト読み上げが可能なリーディング システム内の任意の自然言語のレンダリングを超える発音制御を向上を与える。これらの機能についての詳細な情報は特長セクションのテキスト読み上げを参照されたい。

CSS Speech とインライン SSML 音素の組み合わせもまた、ルビを細かく制御できる。

3.6 コンテナ

OCF コンテナフォーマットは、コンテンツリソースの名前付けに、国際化されたファイルやディレクトリを考慮して、UTF-8 をサポートしている。

4 アクセシビリティ

EPUB の主な目標は、コンテンツのアクセシビリティを促進することであり、EPUB 3.1 の多様な機能は、この要求をサポートする。このセクションは、該当する EPUB 出版物がアクセシブルであることを確保するためのいくつかの確立されたベストプラクティスを記述し、これらの機能を再検討する。

EPUB 3.1 は、[WCAG 2.0] の Web コンテンツをアクセシブルにするための大規模な作業を活用するアクセシビリティ仕様 [EPUB Accessibility] もまた包含する。仕様は、幅広いユーザーがアクセスできる EPUB 出版物の製造のための要件を定義する。要件を満たすためのベストプラクティスを説明する達成方法のドキュメントが付属している。

アクセシビリティの留意を重視することは本当に重要で、アクセシブルなコンテンツは、より価値の高いコンテンツでもあり、アクセシブルな EPUB 出版物は、手動または自動化されたワークフローを介して、全体または一部のより多くのデバイス対応と、再利用が容易になる。EPUB ワーキング グループは、製作者らがアクセシブルなコンテンツを生成し、担保することを強く推奨する。

4.1 ナビゲーション

EPUB 3.1 は、EPUB ナビゲーション ドキュメントを追加することで NCX ドキュメントを改善する。上記のナビゲーション ドキュメントで述べたように、ナビゲーション機能は、よりユニバーサルで柔軟なナビゲーション システムを表現する。

ナビゲーション ドキュメントは、spine 内に包含することによって EPUB 出版物の本文内に再利用することもできる。 本文内で、ユーザーに完全な目次を表示することを望ましくないかもしれない高度に構造化されたドキュメントとなる状態を回避するためは、表示レベルで、[HTML]hidden 属性を使用して変更することができる。 この属性は、利用可能な情報を最小限にすることを避けつつ、(例えば、専門的な見解で)spine の外側にある目次をレンダリングするとき、リーディング システムによって無視される。

製作者はまた、これらの EPUB 出版物がたとえば図や表などの非構造化された関心のある点を含むとき、コンテンツへのアクセスをより向上させるために、追加の nav 要素を提供することを推奨している。

4.2 セマンティック マークアップ

[HTML] は、より意味論的に意義のある(例えば、sectionnavaside)マークアップをするために意図された要素といくつかの HTML4 要素のために明確に定義されたセマンティクスの導入をサポートしている。これらの要素の使用は、しっかりと構造化された Web コンテンツのオーサリングのためのベストプラクティスと併せて、EPUB XHTML コンテンツ ドキュメントを作るときに用いる。この追加は、コンテンツをより良く分類し、文書構造の表現のために、そしてこれらの論理的なナビゲーションを容易にするための定義をすることができる。XHTML コンテンツ ドキュメントはまた、ARIA の ロール(role)とステート(state)、プロパティ(property)、コンテンツ相互作用する支援技術の能力を高めるイベントの包含をネイティブにサポートする。

EPUB 3.1 は、さらに、W3C ロール属性 [Role] と機能的に同等であることを意味する epub:type 属性を包含する。 この属性は、XHTML コンテンツ ドキュメント内の任意の要素に統制された語彙と用語を使用して、作品内にその目的と意味に関する追加の情報を包含することができる。詳細な情報は、XHTML 意味の変化 [Content Docs 3.1] を参照されたい。

4.3 動的レイアウト

EPUB の設計の中心は動的なレイアウトであり、コンテンツは一般的に、前もってページ区切りの方法(すなわち、特定の寸法の"ページ"を期待する)よりはむしろ、その場で体裁を整えられることを意図している。この中核の機能は、例えば、異なるサイズのデバイスの画面やウィンドウサイズのレンダリングを最適化するために有用であり、コンテンツのアクセシビリティを容易かつ簡素化する。

(たとえば、ビットマップ画像や SVG グラフィック、または特定の視覚的なレイアウトを実現する CSS の明示的なポジショニングおよび/または表組要素の使用を介して)EPUB に完璧にフォーマット化されたコンテンツを組み込むことが可能とはいえ、製作者は、そのような技術を利用することは強く推奨されない。多くのリーディング システムは、単一スクロールのビューポートを作成するよりむしろ、ページ区切りされた寸法でコンテンツをレンダリングしたり、それぞれのリーディング システムは、独自のページ付けのアルゴリズムを定義しているかもしれないので、これらの技術は EPUB では信頼できない。これらの技術が、出版物のコンテンツを伝えるために必要なとき、(例えば、グラフィック ノベルのために)フォールバック [EPUB 3.1] を包含することを考慮されたい。

一般に、絶対的なサイジングやポジショニングをせずに CSS スタイル シートを使用することで、視覚的な豊かさを実現するのが望ましい。

4.4 聴覚レンダリングとメディア オーバーレイ

コンテンツの聴覚レンダリングは、アクセシビリティのために重要であり、他の多くのユーザーための機能としても価値がある。聴覚レンダリングを促進するためのベースラインは、動的なレイアウトのために設計されたセマンティックな HTML の利用である。EPUB XHTML ドキュメントに含んでいるネイティブの機能を使用する方法の詳細な情報は、テキスト読み上げを参照されたい。

[Media Overlays 3.1] は、EPUB 出版物のテキストと音声コンテンツを同期する機能を提供する。この機能はすでに、DAISY Digital Talking Books のユーザーに親しまれている。オーバーレイは、多くの状況で有益であり、たとえば、読むことを学習するためのツールとして、テキストと音声の同期の実用性はアクセシビリティの範囲を超える。

4.5 フォールバック

全てのフォーマットは、ネイティブのフォーマットでアクセス可能ではなく、全てのユーザーが提供されるデフォルトのフォーマットで読みことを好むわけではない。EPUB は、これらの場合に利用できる代替え表現のために、フォールバックを提供するための様々な手段を定義する。

出版物とコンテンツレベルのフォールバックは、管理外リソース [EPUB 3.1] で定義されている。これらのフォールバック メカニズムは、EPUB 出版物に管理外リソースを包含することを可能にし、様々な機能(例えば、複数の動画フォーマットを包含したり、EPUB 2 リーディング システムのために SVG コンテンツ ドキュメントに XHTML フォールバックの包含を許可する)を備えたリーディング システム全体で EPUB 3.1 の互換性の確保をする。

加えて、完全な作品の複数のインスタンスは、(コンテナ ファイル(container.xml [OCF 3.1] で定義されている)OCF コンテナファイルの複数の rootfile 要素を定義することで単一の EPUB 出版物として届けることができる。代替のレンディション フォールバックは、たとえば、SVG ページのシークエンスを介して定義されたフォーマット化されたグラフィック ノベルは、XHTML を介して定義されたアクセス可能なテキスト版を添付することができるように使用してもよい。

4.6 スクリプト

EPUB 3.1 において、スクリプトの実行は、ドキュメントの完全性を妨げてはならないため、スクリプトコンテンツのためにプログレッシブ・エンハンスメントを導入する(すなわち、スクリプトが無効なとき、情報の損失を生じてはならない)。それ故に、スクリプトを採用するドキュメントは、これらのコンテンツにより容易にアクセスするためフォールバックを提供できるが [Content Docs 3.1]、ドキュメントは、それらなしでアクセス可能にしなければならない。

あなたが常に Web ドキュメント(例えば [WAI-ARIA] で提供される)でアクセシブルなスクリプトのためのベストプラクティスの実装を確保し、双方向性がユーザーエクスペリエンスのためにきわめて重要な状況でのスクリプトの使用を用意する。

謝辞と貢献者

このセクションは規定ではない情報である。

EPUB 3.1

EPUB は、出版社、ベンダー、ソフトウェア開発者、および関連する標準規格の専門家を集め、協力的な努力で国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum, IDPF) によって開発された。

EPUB 3.1 仕様は下に述べるリーダーシップにより2015年7月のメンバーシップによって承認された憲章の下で動作し国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum, IDPF)の EPUB Maintenance Working Group によって調整した:

第 3 版発行時点でのワーキング グループのアクティブメンバー:

IDPF Members

Invited Experts/Observers

EPUB 3.0

この 3.0 版は、下に述べるリーダーシップにより国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum, IDPF)の EPUB Maintenance Working Group によって調整した:

第 3.0 版発行時点でのワーキング グループのアクティブメンバー:

IDPF Members

Invited Experts/Observers

EPUB 2.0.1

この 2.0.1 版は、下に述べるリーダーシップにより国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum, IDPF)の EPUB Maintenance Working Group によって調整した:

第 2.0.1 版発行時点でのワーキング グループのアクティブメンバー:

EPUB 1.0

この 1.0 版は、下に述べるリーダーシップにより国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum, IDPF)の EPUB Maintenance Working Group によって調整した:

第 1.0 版発行時点でのワーキング グループのアクティブメンバー:

参照・参考

規定の参照

[Alt Style Tags] Alternate Style Tags . Elika J. Etemad.

[CSS Snapshot] CSS Snapshot .

[Content Docs 3.1] EPUB Content Documents 3.1 .

[Core Media Types] EPUB 3 Core Media Types.

[EPUB 3.1] EPUB 3.1 .

[EPUB Accessibility] EPUB Accessibility .

[HTML] HTML .

[Media Overlays 3.1] EPUB Media Overlays 3.1 .

[PLS] Pronunciation Lexicon Specification 1.0 (PLS) . Paolo Baggia. 14 October 2008.

[Packages 3.1] EPUB Packages 3.1 .

[SSML] Speech Synthesis Markup Language (SSML) Version 1.1 . Daniel C. Burnett, et al. 7 September 2010.

[WAI-ARIA] Accessible Rich Internet Applications (WAI-ARIA) 1.0 . James Craig, et al. 20 March 2014.

[WCAG 2.0] Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0 . Ben Caldwell, et al.

[WOFF] WOFF File Format 1.0 . Jonathan Kew, et al. 13 December 2012.

[WOFF2] WOFF File Format 2.0 . Vladimir Levantovsky, et al.

規定ではない参照

[Role] Role Attribute . An attribute to support the role classification of elements. McCarron, et al. 28 March 2013.