この文書は「EPUB 3.2 Changes」の日本語訳である。最新の文書は https://www.w3.org/publishing/epub32/epub-changes.html である。原文もしくは完全な情報は、EPUB 3.2 Changes を参照されたい。
この日本語訳は参考である。公式な文書ではなく、翻訳・解釈の正確性を保証していない。
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このドキュメントは、重要な変更と追加を強調し、EPUB® 3 仕様の二番目のマイナー リビジョンで行った変更を説明する。
この仕様は、EPUB 3 Community Group によって発行された。W3C 規格ではなく、W3C の規格化手順でもない。W3C Community Final Specification Agreement (FSA) の下では、他の条件が適用されることに注意されたい。W3C Community 及び Business Groups に関して学ばれたい。
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EPUB は XML や Web 規格に基づいたデジタル出版物の交換や配信形式である。EPUB 出版物は、電子書籍、雑誌、出版物のその他の形式を表現し、オンラインやオフラインで消費するために配布することができる Web コンテンツの信頼性の高いパッケージと考えることができる。
EPUB 3.2 は、EPUB 3.0.1 と EPUB 3.1 継承を熟慮した上での、EPUB 3 仕様のマイナー リビジョンである。EPUB 3.1 は、広く採用されておらず、コミュニティ グループは、EPUB 3.1 での多くの変更を維持しながら、EPUB 3.0.1 との強力な後方互換性を持つ EPUB 3.2 を作成する決定をした(特定のバージョンの EPUB は、古いバージョンに適合している EPUB 出版物が、新しいバージョンに適合している場合にのみ、古いバージョンと強力な後方互換性があると言われている)。
このドキュメントは、読者が、どのように EPUB 3.0.1 をこの新しいバージョンへ更新する前に、EPUB 3.1 をレビューする必要がないように、EPUB 3.0.1 移行の EPUB における全ての変更を説明する。
このドキュメントは規定ではない。EPUB 3 の正確な情報は EPUB 仕様を参照されたい。
多くの既存の EPUB 3.0.1 ファイルは変更することなく EPUB 3.2 として適合するはずなので、コンテンツ製作者は、ワークフローやプロセスを変更する必要はない。EPUB 3.2 は、いくつかのオプションが提供されており、コンテンツ製作者は、EPUB アクセシビリティ ガイドラインに従うことを正式に推奨する。
基礎となる HTML、CSS 及び SVG といったウェブ標準への変更は、EPUBCheck への変更と同様に、妥当性に影響を与える可能性がある。
EPUB 3.2 における最大の変更は、HTML、CSS 及び SVG のコア ウェブ仕様との関連性である。これまで EPUB は、特定の日付バージョンの HTML 又は CSS を指していた。現在、EPUB 3.2 は、W3C で定義される HTML、CSS 及び SVG の最新バージョンを正式にサポートする。これらのバージョンは、徐々に進化し、EPUB は、ウェブの最新の状態を維持する。
他の注意すべき変更は、WOFF 2.0 及び SFNT フォントがコア メディア タイプ リソースになったことである。EPUB 3.2 は、例えば、bindings
、epub:trigger
及び epub:switch.
など、いくつかの古い機能を非推奨(deprecate)にした。
EPUB 標準の読解と参照を簡単にするために、仕様の主な再編成に着手した。最大の変更点として、新しい包括的な EPUB 仕様は、エントリへの主なポイントとして導入された。[Publications301] で定義された以前の EPUB 出版物およびリーディング システムの要件は、出版物リソースに関するセクションがあったように、この新しいトップレベルの仕様に移動した。全ての共通用語は、同様に、共通の参照点を提供するために、このトップレベルの仕様に集めた。主要な概念のインデックスと用語は、様々なサブ仕様のナビゲーションを支援するために追加さた。
[Publications301] は、パッケージ ドキュメントを介してコンテンツのレンディションを定義していることを反映するために、より適した EPUB Packages 3.2 [Packages32] にリネームした。EPUB ナビゲーション ドキュメントの定義は、EPUB コンテンツ ドキュメントの一般的な機能ではなく、パッケージの中心的な構成要素であるとして、パッケージ仕様のために [ContentDocs301] から移動した。以前、この仕様で定義されていたプロパティの定義は、外部の語彙へ移動した。
[MediaOverlays32] は、埋め込まれるプロパティの定義が別々の語彙として移動されたが、その他の点では構造的な変化はない。
[ContentDocs32] は、EPUB ナビゲーション ドキュメントの定義の除去を別とすれば、主に表面的な変更がなされた。いくつかのセクションは、一意のドキュメント タイプではなく、(例えば、セクション「スクリプト コンテンツ ドキュメント」は、「スクリプト」に変更された)コンテンツ ドキュメントを強化する方法を反映するために改名されたが、それ以外のセクションの配置は大きく変更していない。
[OCF32] は、同様に、いくつかのマイナーな編集と構造上のクリーンアップがなされたが、セクションの追加または削除はない。
EPUB 3.2 で取り上げられた EPUB 3.0.1 仕様のイシューの説明とタイプミス、その他の完全なリストはイシュー トラッカーを参照されたい。
EPUB 3.2 は、全ての EPUB 出版物が、新しい EPUB Accessibility 仕様 [EPUBAccessibility] に適合する勧告を包含する。アクセシビリティ仕様は、コンテンツ内の [WCAG20] サポートと一緒に、発見のメタデータの包含のための勧告を行う。
EPUB リーディング システムはまた、[EPUBAccessibility] の要件を満たすことを推奨する。
EPUB 3.2 は、コア メディア タイプ リソース [EPUB32] として WOFF 2.0 と SFNT フォント フォーマットを追加した。
EPUB 3.2 は、スパインではなく、EPUB コンテンツ ドキュメントに埋め込まれていない場合は、管理外リソースがフォールバックを必要としないという更なる明確化を追加した。
この変更は、特に利点、不要なフォールバックなしにスクリプトによって使用するためのデータファイルを製作者が包含することができる。
EPUB 3.2 は、スクリプトによって使用されるフォントとリソースが EPUB コンテナの外側でホストされることを許可する。
EPUB 3.2 は、ハイパーリンクするために EPUB Canonical Fragment Identifiers [EPUB-CFI] をサポートするリーディング システムへの要求は取り除かれた(EPUB 3.0.1 EPUBCFI の要件を参照)。
EPUB 3.2 は、非推奨(deprecated)の定義を更新し、「置き換え(superseded)」を廃止し、後方互換性のみを目的とした「レガシー」機能の概念を追加する。
3.2 リビジョンで取り上げられた EPUB Packages 仕様のイシューの説明とタイプミス、その他の完全なリストはイシュー トラッカーを参照されたい。
EPUB 3.2 は、パッケージ メタデータを次のように変更する。
rendition:spread
の portrait
値は、非推奨(deprecated)となった。rendition:viewport
プロパティは、非推奨(deprecated)となった。meta-auth
プロパティは、非推奨(deprecated)となった。display-seq
プロパティは、もはや creators に適用されない。表示の優先順序は、ドキュメントの順序に従う。authority
及びterm
プロパティは、dc:subject
要素で使用するために追加された。marc21xml-record
、mods-record
、onix-record
及び xmp-signature
)。今は、一般的な record
の関連性はの使用が、推奨される。properties
属性は、固有のメディアタイプを持たないレコード タイプを識別するのに役立つように、link 要素に追加された。alternate
、 acquire
及び voicing
のリンクの関係性が追加された。epubsc
は、もはや予約済みのプリフィックスではない。EPUB 3.2 は、パッケージ ドキュメントの metadata
要素に直接包含されている情報の上にリンクされたレコードに書誌情報に優先し、リンクされたレコードの優先順位もまた変更する。
リモートのレコードを取得するためのプロトコルは、最新ドラフトの補足で開発中であった。その作業は削除され、別のドキュメントで継続されるであろう。
bindings
要素の非推奨(deprecation)EPUB 3.2 は、object 要素(EPUB 3.0.1 bindings
を参照)に埋め込まれた管理外リソースのために代替のスクリプト化したフォールバックを提供するパッケージ ドキュメント内で bindings の使用を非推奨(deprecation)とする。
[HTML] object
要素固有のフォールバック メカニズム(埋め込みコンテンツ)は、フォールバックのコア メディア タイプ リソースを提供するために使用できる。
3.2 リビジョンで取り上げられた EPUB Content Documents 仕様のイシューの説明とタイプミス、その他の完全なリストはイシュー トラッカーを参照されたい。
EPUB 3.0.1 は、それらの特定のバージョンに仕様を結びつけるため、HTML 5.0 と SVG 1.1 のために日付付きの参照を使用していた。このモデルでは、新しいリビジョンが、HTML や SVG のバージョンを導入するのにそれぞれの時間を必要とした。
EPUB 3.2 が、これら仕様における最新の推奨バージョンと共に最新に保たれていることを保証するために、日付付きの参照は、EPUB 3.2 において日付なし参照に置き換えられた。この変更は、HTML と SVG の新しい推奨バージョンが公開されると、それらがすぐに EPUB 出版物での使用に有効であることを意味する。
この変更の結果として、SVG のアニメーション要素とイベントの使用に対する制限は取り除かれたが、製作者は、SVG のこれらの機能やその他の機能は、まだ十分にサポートされていないので注意して使用するべきである。
詳細の情報は、HTML との関連性と SVG との関連性を見よ。
EPUB 3.2 は、EPUB スタイル シート プロファイルを削除する。その代わりに、より一般的な CSS のサポート要件が定義される。
CSS のサポートは、視覚的なリーディング システムのために必要である。
CSS プロファイルよりはむしろ、EPUB 3.2 は、CSS ワーキング グループ スナップショットから CSS の「公式な定義」を使用する。
position: fixed
の使用の制約は削除された。
position: absolute
の使用の制約は削除された。
CSS Speech から全ての -epub-
プリフィックス付きプロパティは、実装の少なさから削除された。
-epub-ruby-position
プロパティは削除された。
-epub-text-combine-horizontal
プロパティは削除された。
-epub-fullsize-kana
プロパティは削除された。
-epub-text-emphasis
ショートハンド プロパティは削除された。
-epub-text-orientation の use-glyph-orientation
と sideways-left
値は削除された。
display プロパティの oeb-page-head
と oeb-page-foot
値は削除された。これらは、EPUB 3.0.1 で非推奨であった。
EPUB 出版物で使用されるスタイルシートに制限を課すことは、EPUB の役割ではない。CSS は、十分に定義されたエラー処理を持ち、合理的なフォールバック動作を保証しながら新しいCSS機能を利用できるように、(例えば、@supports
やカスケードなど)多くの技術を製作者作は利用可能できる。
EPUB 3.2 は、リーディング システムが、リーディング システムの適合性要件の追加とスタイルを上書きするサブセクションを介して、ユーザー エージェント スタイルの上に、製作者とユーザーのスタイルの選択を優先するべきガイダンスを追加した。
epub:type
の値EPUB 3.2 は、epub:type
属性で使用される EPUB Structural Semantics Vocabulary [EPUB-SSV] の一部ではないプリフィックスのない値を許可する。
EPUB 3.2 は、スクリプトのサポートを次のように変更する。
コンテナ制約のスクリプトは、(embed
と object
は削除され)[HTML] iframe
要素に限られる。
リーディング システムは、コンテナ制約のスクリプトをサポートするべきである(スクリプトまわりのセキュリティとプライバシーの懸念のために「must」から弱めた)。
リーディング システムは、固定レイアウトドキュメント内のスパイン レベルのスクリプトと rendition:flow プロパティで定義された「scrolled-doc」と「scrolled-continuous」インターフェイスをサポートするべきである。
リーディング システムがリフロー可能なドキュメントでスパイン レベルのスクリプトをサポートする場合、「scrolled-doc」インターフェイスをサポートしなければならなず、「scrolled-continuous」インターフェイスをサポートするべきである。
switch
要素の非推奨(deprecation)EPUB 3.2 は、コンテンツの条件付き表示のために switch
要素の使用を非推奨(deprecation)とする(EPUB 3.0.1 switch
要素を参照)。
trigger
要素の非推奨(deprecation)EPUB 3.2 は、音声と動画コンテンツのコントロールを宣言するための trigger
要素の包含を非推奨(deprecation)とする(EPUB 3.0.1 trigger 要素を参照)。
製作者は、[HTML] audio
と video
要素によって提供されるネイティブなコントロールを使用することが推奨される。
IDL 定義に、epubReadingSystem
オブジェクトが追加された。
ネストされたコンテクストを包含している、異なるスクリプト コンテクスト内に、オブジェクトを利用できるようにするための要件もまた明確化された。
3.2 リビジョンで取り上げられた OCF 仕様のイシューの説明とタイプミス、その他の完全なリストはイシュー トラッカーを参照されたい。
暗号化と圧縮の順序が明確化された。新しいルールは、リソースのサイズを減少させることが適切でないとき、圧縮が必要でないことを明確にする。
Compression
要素新しい Compression
要素は、リソースがすでに圧縮済みなのかそれともそれがオリジナルのバイトサイズを提供しているのかを示すために encryption.xml
スキーマのために追加された。
3.2 リビジョンで取り上げられたメディア オーバレイ 仕様のイシューの説明とタイプミス、その他の完全なリストはイシュー トラッカーを参照されたい。
このリビジョンでは、Media Overlays仕様に大きな変更はなかった。
EPUB 3.2 リビジョンは、EPUB 出版物をアクセシブルであり発見可能にする方法の詳細として、[EPUBAccessibility] 仕様を導入する。この仕様は、[WCAG20] の作業を活用し、EPUB 出版物のための要件もまた追加している。これは、要件を満たすためのベスト プラクティスを記述した、規定ではない [EPUBAccessibilityTechniques] ドキュメントが添付されている。
この仕様は、EPUB の古いバージョンに利用できるよう設計されている。EPUB 3.0.1 または 2.0.1 がアクセシブルかどうかを確認するために製作者によってすぐ使用することができる。
EPUB Canonical Identifiers 仕様は、もはや EPUB 3.2 から参照されない。現在、リーディング システムにおけるサポートは、省略可能である。
Alternate Style Tags 仕様は、もはや EPUB 3.2 から参照されない。現在、リーディング システムにおけるサポートは、省略可能である。